2008年02月01日
~限界突破~
だいぶ強くなってきたようだ。一日置きだがトレーニングはしている。そろそろ挑戦してもいい頃だ。外は強い風が吹き荒れ、窓がギシギシと音をたてている。 ようやく馴染んできた茶色の革のジャケットをはおり、おれはトシとKJを呼ぶことにした。
テニスのことではない。カレーのことである。はじめは2辛しか食べられなかったおれが、ようやく10辛にたどり着こうとしていた。毎回1辛ずつグレードをあげていき、今は8辛まできた。
なぜおれが、こんなバカげたことに挑戦することになったのか。思えばトシやKJとの出会いが始まりだった。
あいつらはいつも競い合っている。しかも端からみればくだらないことに。先日は、幅の小さな階段を一段飛ばしすることなく、どちらが速く降りられるかを争っていた。
その前はしゃぶしゃぶをどれだけ食べられるか。おれも付き合わされ、三人で新記録を目指してしこたま食わされた。次の日の夜まで腹が空くことがなかったばかりか、おれは当分しゃぶしゃぶを断つことを心に誓った。
こどものように限界をつくらず、バカなことに挑戦する。あいつらが少し羨ましく感じる。
集合をかけ、三人が集まった。
“ついにあの店を制覇するときがきたようだな。 この店で一番辛いカレーを3つだ そう言ってやろう。三人が食べ終えたとき もうあの店に用はねぇ” トシはそう言うと、店に向かって歩き出した。
~大会結果~
1月27日 王子
ぶた・KJ 予選 6-2 4-6 4-6
1勝2敗 予選敗退
トシ・ひろし 予選 6-4 3-6 1-6
1勝2敗 予選敗退
情けねぇ 散々な結果だ。 草がこんなにレベルが高いとは正直思わなかった。
ただ4-6で競った相手がトーナメント決勝まで進んだことが、まだ救いだ。
2月3日 南行徳
目指すは予選突破だ。
テニスのことではない。カレーのことである。はじめは2辛しか食べられなかったおれが、ようやく10辛にたどり着こうとしていた。毎回1辛ずつグレードをあげていき、今は8辛まできた。
なぜおれが、こんなバカげたことに挑戦することになったのか。思えばトシやKJとの出会いが始まりだった。
あいつらはいつも競い合っている。しかも端からみればくだらないことに。先日は、幅の小さな階段を一段飛ばしすることなく、どちらが速く降りられるかを争っていた。
その前はしゃぶしゃぶをどれだけ食べられるか。おれも付き合わされ、三人で新記録を目指してしこたま食わされた。次の日の夜まで腹が空くことがなかったばかりか、おれは当分しゃぶしゃぶを断つことを心に誓った。
こどものように限界をつくらず、バカなことに挑戦する。あいつらが少し羨ましく感じる。
集合をかけ、三人が集まった。
“ついにあの店を制覇するときがきたようだな。 この店で一番辛いカレーを3つだ そう言ってやろう。三人が食べ終えたとき もうあの店に用はねぇ” トシはそう言うと、店に向かって歩き出した。
~大会結果~
1月27日 王子
ぶた・KJ 予選 6-2 4-6 4-6
1勝2敗 予選敗退
トシ・ひろし 予選 6-4 3-6 1-6
1勝2敗 予選敗退
情けねぇ 散々な結果だ。 草がこんなにレベルが高いとは正直思わなかった。
ただ4-6で競った相手がトーナメント決勝まで進んだことが、まだ救いだ。
2月3日 南行徳
目指すは予選突破だ。
2008年01月26日
~エレガント~
“27日の試合はお前らが優勝しろ。 3日はおれが勝つから ” 7年物のプリンスのグラファイトを右手で器用にクルリと回しながらトシはそう言った。
“3日? なんの事だ。 聞いてないぞ、そんな話” 27日の試合は以前に聞いていたが、3日は聞かされていなかった。おれにも予定がある、急にそんなことを言われても勝手がつかない。
“きのう申し込んだ。場所は南行徳だ しっかり準備しとけよ” そう言うとトシは、HOPEを一本取り出し火をつけた。常日頃からこいつらには、タバコは体力が落ちるからやめろと言ってある。おれが文句を言おうとするのを遮り、トシはこうつづけた。
“美しく 華麗に そして魅力的に そう勝たなければ そうだ、エレガントだ オシムだ 遠藤だ”
おれたちチームの代表であるトシは、プレーに対して美学があり、自分を例えるとき必ずこのセリフを言う。
なぜオシムか 彼いわくオシムは本当はエレガントが大好きであり、常に模索している。 まさに自分だと
遠藤 言わずと知れたサッカー日本代表選手であり、ファンタジスタである。 これもまた自分であると
さらにつづける
“去年の秋からいろいろ試合に出たが 足りない所も 通用する所もよくわかった。しかし今は勝ちにこだわっていても未来はない。自分の信念に基づき試合をしなくては。試合数をこなしどんなレベルでもおれらのカラーを出す。そうエレガントに”
相変わらずトシはプロみたいな事を言いやがる。ただおれたちは実際アマチュアなのだ。アマは勝ちが一番重要視される。観客が喜ぼうが落胆しようが知ったことではない。どう勝ちにこだわるか、それが上に行く近道だ。
ただ そういうおれが、美しく魅力的なプレーをするトシとKJのコンビの1番のファンなのだが。
“3日? なんの事だ。 聞いてないぞ、そんな話” 27日の試合は以前に聞いていたが、3日は聞かされていなかった。おれにも予定がある、急にそんなことを言われても勝手がつかない。
“きのう申し込んだ。場所は南行徳だ しっかり準備しとけよ” そう言うとトシは、HOPEを一本取り出し火をつけた。常日頃からこいつらには、タバコは体力が落ちるからやめろと言ってある。おれが文句を言おうとするのを遮り、トシはこうつづけた。
“美しく 華麗に そして魅力的に そう勝たなければ そうだ、エレガントだ オシムだ 遠藤だ”
おれたちチームの代表であるトシは、プレーに対して美学があり、自分を例えるとき必ずこのセリフを言う。
なぜオシムか 彼いわくオシムは本当はエレガントが大好きであり、常に模索している。 まさに自分だと
遠藤 言わずと知れたサッカー日本代表選手であり、ファンタジスタである。 これもまた自分であると
さらにつづける
“去年の秋からいろいろ試合に出たが 足りない所も 通用する所もよくわかった。しかし今は勝ちにこだわっていても未来はない。自分の信念に基づき試合をしなくては。試合数をこなしどんなレベルでもおれらのカラーを出す。そうエレガントに”
相変わらずトシはプロみたいな事を言いやがる。ただおれたちは実際アマチュアなのだ。アマは勝ちが一番重要視される。観客が喜ぼうが落胆しようが知ったことではない。どう勝ちにこだわるか、それが上に行く近道だ。
ただ そういうおれが、美しく魅力的なプレーをするトシとKJのコンビの1番のファンなのだが。
2008年01月25日
~フェラーリのごとく真紅に~
KJはものすごいスピードでカレーを口に運ぶ。みるみるうちにカレーが無くなっていき、それと伴いKJの額からは、汗がしたたり落ちる。
カレーが残り半分になると、顔中が・・・というか首まで汗びっしょりだ。トシがKJの汗を、フキンペーパーでぬぐい始めた。一枚二枚と次々に消費されていく。
KJが食い、トシがぬぐう。 さすがおれたちの最強ペア。息はぴったりである。
食べてるあいだ、おれたちは一言もしゃべらなかった。しゃべる余裕はまったくない。息を吸う振動でさえ、刺激になり、口と喉がしびれる。速さだ、速さが肝心なんだ みなこの言葉を一心に食べ続けた。
5分後ついに完食したKJは言う
“楽勝でした。もうこの店でおれを満足させるカレーはありませんね”
KJの顔は真っ赤である。 風呂あがりの少年のように 猿のお尻のように 夕焼けのように あの日のKJは誰よりも赤かった。
カレーが残り半分になると、顔中が・・・というか首まで汗びっしょりだ。トシがKJの汗を、フキンペーパーでぬぐい始めた。一枚二枚と次々に消費されていく。
KJが食い、トシがぬぐう。 さすがおれたちの最強ペア。息はぴったりである。
食べてるあいだ、おれたちは一言もしゃべらなかった。しゃべる余裕はまったくない。息を吸う振動でさえ、刺激になり、口と喉がしびれる。速さだ、速さが肝心なんだ みなこの言葉を一心に食べ続けた。
5分後ついに完食したKJは言う
“楽勝でした。もうこの店でおれを満足させるカレーはありませんね”
KJの顔は真っ赤である。 風呂あがりの少年のように 猿のお尻のように 夕焼けのように あの日のKJは誰よりも赤かった。
2008年01月24日
~ポークカレー~
入口の前に立つと、KJは赤のダウンジャケットを脱いだ。
店内には客が4,5人程いる。
“今日もやってやりますよ” KJはそういうと勢いよくドアを開けた。
一番奥にあるいつものテーブル席に座る。メニューはもはや見ない。
“この店で一番辛いカレーを持ってきてくれ” 店員にそう告げるとKJは水を一口飲み、カレーのコツを話し始めた。
“カレーはとにかく、速さが一番っすね。水には手をつけず一気に食す。よく噛んで食べてたら辛さがまわって、くちびるが腫れ上がってしまうから”
KJが食べるのは10辛である。 通常の辛さの24倍。 とてもじゃないがおれには食えない。“4辛なんてカレーの王子様ですよ”とKJは言うが、10辛はさすがに挑戦できない・・・。
厨房をのぞくとまた来たかと言った表情で、店員がカレーの中に大量の何かを入れ、かき混ぜ始める。うっすら店員が半笑いなのは、気のせいであろうか。
店員が、ミートソースのような色のするKJのカレーを運んできた。店員とKJのカレー対決がいよいよ始まろうとしていた。
店内には客が4,5人程いる。
“今日もやってやりますよ” KJはそういうと勢いよくドアを開けた。
一番奥にあるいつものテーブル席に座る。メニューはもはや見ない。
“この店で一番辛いカレーを持ってきてくれ” 店員にそう告げるとKJは水を一口飲み、カレーのコツを話し始めた。
“カレーはとにかく、速さが一番っすね。水には手をつけず一気に食す。よく噛んで食べてたら辛さがまわって、くちびるが腫れ上がってしまうから”
KJが食べるのは10辛である。 通常の辛さの24倍。 とてもじゃないがおれには食えない。“4辛なんてカレーの王子様ですよ”とKJは言うが、10辛はさすがに挑戦できない・・・。
厨房をのぞくとまた来たかと言った表情で、店員がカレーの中に大量の何かを入れ、かき混ぜ始める。うっすら店員が半笑いなのは、気のせいであろうか。
店員が、ミートソースのような色のするKJのカレーを運んできた。店員とKJのカレー対決がいよいよ始まろうとしていた。
2008年01月23日
~王子~
次の仕事の依頼だ。
1月27日 場所は王子 ダブルス
リーグ戦の後、上位2ペアが決勝トーナメント進出
代表のトシとひろしが組み、おれはKJと組む事になる。前回の反省も踏まえ、今度こそ優勝したいものだ。
1月27日 場所は王子 ダブルス
リーグ戦の後、上位2ペアが決勝トーナメント進出
代表のトシとひろしが組み、おれはKJと組む事になる。前回の反省も踏まえ、今度こそ優勝したいものだ。